かくかく しかじか帳

藻の、思う・感じる・考えること

値上げしても食べたいもの

 値上げしても食べたいものは、鳥貴族のチキン南蛮だ。甘酸っぱいタレがかかったサクサクの薄い衣をまとった鶏肉に、薄切りの玉ねぎが盛られ、その上からどっさりとタルタルソースがかかっている。カロリーを気にせずに頼んでいただきたい一品だ。

 

 鳥貴族との出会いは、大学生の時だった。一人の友だちが飲みに行きたいという。彼女の意見にのって連れていかれたのが、雑居ビルの上の階に入った鳥貴族だった。

 

 独特の木の仕切り、ベンチのような椅子。小さく区切られたスペースが妙に落ち着いた。通いなれた彼女が注文したのは、キャベツ盛り。おかわり無料だという。キャベツをエンドレスにむさぼりながら、美味しい焼き鳥をたくさん食べて、しめに釜めしを食べる。これが友だちとの鳥貴族ルーティーンだった。

 

 京都を離れて地元に戻るが、そこには鳥貴族はない。鳥貴族が遠い存在になってしまった。

 

 時は経ち、現在東京。最寄り駅には鳥貴族がある。普段外で飲むこと自体が珍しい中、自発的に飲みに行くときは必ず鳥貴族になる。十年前は一品二八〇円くらいだったが、今は三六〇円に値上がりした。値上げした価格にも負けない美味しさは、さすが鳥貴族としか言いようがない。むしろもっと値段をとってもいいとさえ思える。

 

 いつか地元にもできてほしい。その時は地元の友だちを連れて飲みに行きたい。