かくかく しかじか帳

藻の、思う・感じる・考えること

お土産の価値は、時間で決まる

 旅行が好きだ。行ったことのない場所に行ってみたいという、単純な好奇心。その土地の空気を吸い、風を感じ、街に紛れ込む。大自然に触れたり、その土地ならではの美味しいものを楽しむ。

 

 今回は福井県に行ってきた。大学以来の友人の三人組。それぞれの住む街から現地で集合した。友人の運転する車で、東尋坊やリニューアルした恐竜博物館へ行った。魚三昧の懐石料理や、地の物を使ったスイーツなども味わった。一年ぶりに再会したのにも関わらず、久しぶりな感じがしない。特別な時間のはずなのに、当たり前のような空気感が心地よかった。

 

 東京に住み始めて約二年。東京には全国各地の美味しいお店が集まっている。今回お土産に買って帰った焼き鯖寿司も、お店のパンプレットを見たら東京駅に出店していることを知った。

 

 「なんだ、東京駅でも買えるじゃん」

 

 旅行に行かなくても、全国各地の美味しいものが手に入る。わざわざ旅行に行く意味はないのでは?だが、私はそうは思わない。その土地の空気に触れて、見て、知って、初めて価値がつくものがあると信じるからだ。

 

 価値とは時間だ。その土地で過ごした時間。友人と共有した時間。そのすべてがお土産の価値を決める。どんなお土産も、どこでもすぐに手に入ったら、美味しくても味気ない。

 

 焼き鯖寿司の他にも、羽二重餅や花らっきょうなど、たくさんのお土産を買ってきた。楽しかった思い出とともに、味わいたいと思う。