かくかく しかじか帳

藻の、思う・感じる・考えること

一生続けたい趣味を見つける

 歩くのが好きだ。無理のない力で、交互に足を出す。周囲の景色を見たり、喧噪をスルーしながら、飽きたら音楽を聴く。目的地の方向に向かえているか、たまにGoogleマップを見ながら、歩く道を考える。すれ違う人や遠くにいる他の人たちを観察したり、頭の中で思いついた話題についてぼんやりと考えたりする。ぼーっとしたり、考えをくゆらせたりするのに、歩くスピードはちょうどいい。車や自転車だと、ゆっくり考えるには早すぎるからだ。

 

 どのくらい歩けるだろう?と、山手線の沿線を一周したことがある。距離は大体フルマラソンくらい。五反田駅を起点に内回りで歩く。各駅周辺の雰囲気の違いを感じながら歩くのが面白く、一駅一駅通過していくのは達成感があった。かかった時間は十時間二十分。ゴールした後は歩道橋の階段を一段ずつ上るのが精いっぱいなくらい、足腰がヘロヘロになった。

 

 その一年後には、ディズニーランドに行ってみることにした。レインボーブリッジからディズニーランドまで、東京湾沿いの道を往復する。山手線一周と違って、大型車両が通る車道沿いをひたすらにまっすぐ進むコースで、タイムトライアルのような競技性のある歩行になった。一方で、普段だったら絶対歩かないレインボーブリッジや荒川橋梁を渡るのは、スリルがあって非日常感を味わえた。

 

 運動音痴だが、歩くことはできる。方向音痴だが、立ち止まりながらマップを確認すれば、大幅にずれる前に修正できる。長い距離を歩きながら、なんでこんな辛いことをしているんだろうと途方に暮れる瞬間もあるが、しばらく時間が経つと、次はどんなチャレンジをしてみようかと考えてしまう。歩くことは性に合うらしい。

 

 歩くのが好きだと自覚するようになって、十年くらいの時間が流れた。この先の人生も、ずっと歩くことを続けていきたいなと感じている。長く続けられることは、普段なんとなくやっていることで、心地よいと感じていることかもしれない。お年寄りと呼ばれる年齢になっても続けられるように、足腰の健康にだけは注意するつもりだ。